BARBARA WEIR (バーバラ ウィラー
言語集団;アマチャラ(ANMATYERRE) 出身;ユトーピア



1945年ごろアリススプリングズの北東ユトーピアに生まれた女性。

アボリジニの母とアイルランド人の父を持つ彼女は両文化の特徴が上手く調和されたユニークな性格の持ち主である。 1950年代に、オーストラリア政府が行った政策により彼女は9歳のときに無理やり両親のもとから引き離されてアリススプリングズ・ダーウィン・ブリズベンなど次々と違う白人家庭のもとへと引き取られていった。そうしているうちに、自分の言語もだんだんと忘れていきいつのまにか白人社会へと染まっていったのである。だが、心の片隅にはいつも“自分の故郷ユトーピアヘ帰りたい”という気持ちが強くあったため、1970年代はじめに自分の意志で再び戻って行ったのである。 しかしアマチャラ語をほとんど覚えていなかった彼女は、故郷へ帰っても誰ともコミュニケーションが取れずにいたのだが、その彼女の幼い頃を鮮明に覚えていたのが現在オーストラリアで最も偉大なアーティストであるエマリーであったのだった。 それからというもの、彼女は再びアマチャラ語を学び直しユトーピアにもたびたび訪れるようになったのである。エマリーとの日常の強い接触、また彼女の画家としての才能に大きな影響を受け自分自身も画家として活動し始めたのが1990年ごろであった。

現在、アボリジニ社会と白人社会との狭間に立った彼女の描く独創的なスタイルには大きな注目が集められ、オーストラリア国内はもとより海外でもその評価は高い。